サーカス・オズを訪ねて
◆1978年から活動を続けている、オーストラリアの世界的に著名なサーカス、Circus OZによる『GRANKED UP』という作品を見てきました。10名のサーカスアーティストと2名のミュージシャンによって構成された作品は、明るくエネルギッシュで、オーストラリアならではの、愉快なサーカスエンターテイメントでした。その感想を綴ります。
オーストラリアのパースでCiurcus OZ『GRANKED UP』
2013年8月4日~9日の旅程で行ってきました。オーストラリアには、NICA(National Institute of Circus Arts)という、サーカス・アート(とオーストラリアでは呼んでいる)で学士号を提供している国立の教育機関があり、スウィンバーン工科大学の認定も受けています。以前、見学に行ったときは、現在「木下大サーカス」で活躍中の、阪知香さんが留学しており、クラスをのぞいたときにバッタリ会い、お互いにびっくりしたことを覚えています。 そのサーカスが盛んな国オーストラリアで、サーカス・オズは、1978年に設立されました。集団でのチームワーク、創造力、ロックンロールに演劇、そして何よりもオーストラリアらしさを盛り込んだエネルギッシュなサーカスショーという特徴は、創立以来、今日も受け継がれています。1990年の国際花と緑の博覧会(大阪)にも、来日しており、その斬新な演出が話題になりました。ネット検索すると、当時の写真等もいれたブログがでてくるので、検索してみてください。サーカス・オズの本拠地はメルボルンですが、今回はパースでの公演を観にいきました。劇場は、Perth Theatre Trustという、もとはオペラハウスだったという、古い歴史ある劇場。
オペラハウスでサーカスやっちゃうというのも、オージーらしくていいですよね。
さて、「CRANKED UP」という作品は、サーカス・アーティスト10名に、ミュージシャン2名で構成されていますが、アーティストも何名か、時々楽器演奏をしていました。ひとり2演目ぐらいはできるようですし、加えて楽器演奏や歌、ダンス、芝居など、こういったところに、NICAという教育機関の成果がでているのではないかと思いました。 ちょっとカマっぽいイケメン2人が進行役。とはいえ、この2人も、楽器演奏もするし、マオリ族の伝統舞踊をアレンジしたようなダンス、へなちょこマジック、ジャグリング、バトントワリングと、いろいろなことをやります。 工事現場を模したような舞台美術の中に、鉄骨に吊り下げられたピアノ(グランドピアノ)があり、演奏している最中に、このピアノが徐々に下がってきたりと、オズらしい吊り物もありました。
このピアノを外したり、空中ブランコ用のプラットフォームを取り付けたりという作業は、リガーが電動ドリルを使って行っていましたが、工事現場というシチュエーションをうまく使い、作品の流れの中で行っていたのも、おもしろく見ることができました。 サーカス芸は、バンキン、ハンドツーハンド、チャイニーズポール、足芸、綱渡り(吊られた鉄骨の上で行われる)、空中リング、バトントワリング、自転車、空中ブランコ(吊られた鉄骨に下げられている)、クラブ・ジャグリング、リング・ジャグリング、ハンドアクロバット、ローラーバランス、シーソー・アクロバットとあり、これらがテンポよく進行されていました。
中盤で、カンガルー(着ぐるみ)のコメディがあるのですが、これがおもしろい。OZなまりの英語のしゃべりは、殆ど理解できませんでしたが、観客には大ウケでした。
コンテンポラリーサーカスと呼ばれるサーカスが、数多く進出してきている中で、伝統を重んじつつも、その時代にあわせた、しかもオーストラリアらしさを忘れないサーカス・オズは、非常に愉快で、久しぶりにサーカスらしいサーカスを観た、楽しい気分にさせられました。 公演最終日には、サーカス・オズの大きなトレーラーが劇場の搬出口に横付けされており、これがまたサーカス気分を高揚させてくれました。 この「CRANKED UP」は、3月で終了し、6月には新しい作品の初演を迎えます。次はどんなことをやってくれるのか、目が離せません。
この記事を書いた人
大野洋子
㈱アフタークラウディカンパニー勤務。サーカスプロモーター。ヨーロッパ、アメリカ、南米、アフリカなど様々なサーカスや、他のパフォーミング・アーツのアーティストらを招聘している。海外の人にはよくオノ・ヨーコと勘違いされている。動物好き。