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辻卓也
 

オリエンタル・イリュージョン・サーカス 
開幕までの日記

2013年3月16日から愛知県犬山市の野外民族博物館リトルワールドではじまった『オリエンタルイリュージョンサーカス』。その来日から開幕までの軌跡を辿るスタッフ・ブログ。

3月9日(土) 3月10日(日)3月11日(月)3月12日(火)3月13日(水)
3月14日(木)3月15日(金)3月16日(土)3月17日(日)3月18日(月)

3月9日(土)
 5人の出演者(と7歳の男の子一人)を出迎えのため、関西空港に15:30に到着。出演者の半数はすでに7日に来日し現場で仕込みをはじめている。アルマティ発、ソウル経由のアシアナ航空が15:50定刻で到着。40分位でオスマンの4人(ワーリャ、アルマーズ、オクサナと7歳のミラン)が北ゲートから出て来た。ついてすぐに「タバコどこで吸える?」と予想どおりの質問。ソウルでのトランジットが長かったので疲れた顔をしていたけど、なかなか機嫌は良い。スケジュール表を渡して宿舎までの簡単な予定を伝えた後、こんどは1時間後に到着するトルコから2名のミュージシャンを出迎えに南ゲート前へ。査証の書類を作ったりしているので証明写真で顔は知っているものの、エミレーツ航空から他の旅客に紛れて出てくる初対面のトルコ人の顔が、すぐに分かるだろうか?不安になったので、念のためA3用紙のネームカードを、身体の正面に持って待っていた。しばらくすると、長身の男性が「うごかないで」と言いながら、ネームカードを持った僕の写真を撮り始めた。ああ、この人か。わりとあっさりゲートに出て来たアッティラとエルギン、初めましてと挨拶。メールでのやりとりから、繊細な人たちかと思っていたらとても朗らかな人たちで、オスマン達ともすぐに打ち解けて一緒になってタバコを吸い始めた。彼らが住む岐阜県の宿舎までは、バスで4〜5時間。手配していた小型バスに荷物を積み込んで18:10頃出発。

バスの後部はサロン型になっていてシャンデリアが3つもついていて、皆なんとなく楽しそうだった。アッティラは写真好きで荷物の積み込みとかバスの中のだとか、細かく写真を取って記録している。アルマーズとミラン君は親子でゲームに没頭。ワーリャは、というと彼の顔色がおかしい。トランジットのソウルの空港で食べた辛い韓国料理がおなかに合わなかったようで、トイレに行きたいとの事。運転手さんにかけあうも、大阪近辺ではなかなかサービスエリアがなくて、かわいそうに30分くらい経ってやっとサービスエリアに辿り着き、なんとか間に合ったようだ。しばらく進んだサービスエリアで寿司やサンドイッチなどの食料を調達し、サロン型のバスでささやかな晩餐を開く。オスマン達は何度も日本に来ているので慣れたものだけど、アッティラとエルギン2人はサービスエリアのコンビニ食材とはいえ、初めて食べる日本食を喜んで食べてくれた。うっかりしていたらワーリャが柿寿司を柿の葉ごと食べてしまった。またおなかを壊さないと良いのだが・・・。

23:00過ぎに宿舎に到着。2日前に到着していたトゥイチーと2年振りの再会。通訳の小原さんに宿舎の使い方をしてもらって、犬山駅前の宿舎にもどる。

3月10日(日)

  犬山駅前バス停で、前乗りをしていたメンバーと挨拶を交わして、11:28分のバスでリトルワールドへ向かう。リトルワールドの事務所に全員で立ち寄り「これからよろしくお願いします」とご挨拶。前乗り組のオスマンのバックがストラップの吊りモノの仕込みを終わらせていた。休憩室に全員揃ってミーティング。

ミーティング前にアッティラがトルコから持参した、とても甘いお菓子を皆に振るまう。それぞれ簡単に自己紹介をしてから、名鉄インプレスのサーカス担当のTさんから日常生活の注意事項をメンバーに伝えてもらう。演出のトゥイチーからオスマンの音楽をオリジナルの物を使わず、すべてトルコの音楽に変えるという説明があった。音の編集が大変そうだ・・・。ミーティングの後、アルマーズ達がローラーバランスの台の組み立てをし、全員で演技の順番を確認。

彼らの母国のサーカス場と違って専用の舞台スタッフは居ないので、すべて出演者達が相互に舞台道具の出し入れなどを助け合わなくてはならない。その演目の順番と誰が誰のヘルプを行なうか、その確認を行なう。その後エアリアル・ストラップの練習をして今日の練習はおしまい。しばらくは寒さと時差ぼけとの闘い。ストラップを短くしたことで、狭い空間をシャープに回れるようになった。ストラップの根元には立派なスイベルが付いている。以前、他のサーカスグループがこのスイベルを急遽必要になり、登山ショップを探し回ったことがある。トン単位の負荷を耐えられるスイベルは店頭ではあまり売ってなく、唯一買えたのはフランス製のものだった。彼らはウクライナで購入したが、どこ製のものかはわからない、とか。

リトルワールド発17:20のバスで犬山へ向かい、イトーヨーカドーでアルマーズ一家が食料品の買物をするのを手伝う。

3月11日(月)
 犬山駅前発、9:28のバスでリトルワールドへ。今日から本格的なリハーサルがはじまる。行きのバスの中で、震災2年の朝刊特集を読んでいたらアッティラとエルギンが、昨日彼らの住んでいるトルコのイズミルで、東日本大震災を悼むデモがあったと教えてくれた。
 2年前、ちょうどリトルワールドでリハーサルをしている最中だった。揺れにはまったく気付かす、15:00頃に東京のACCの事務所に用事があって電話すると、電話が繋がらない。おかしいなあと思いながらも、事の重大さを知らないまま、何度か電話をかけてみる。やっとつながった時、誰は出なかった(同僚達は近所の鳩の森神社に避難していたらしい)。母から携帯のメールで「大丈夫?」とメールが入ったが「なにが?どうしかしたの?」と答えるようなとぼけた状況。しばらくして何かおかしいと思ってiPhoneでニュースを検索したら、首都圏の地下鉄が全線不通というニュース速報が目に入り、慌ててリトルワールドの事務所のテレビを見せてもらい、何が起こっているかを理解したという状況だった。

 野外ホールに着いて最初に音をデータでもらってコンピューターにコピー。波形編集ソフトでレベルを合わせて、リハーサルを見ながら必要なら曲をカットしたり、ループの繰り返しを増やしてを曲を延ばしたりする。オープニングで使う曲は、本当に昔スルタンが使用していたトルコの音楽だという。まずは曲にあわせて動いてみて、振り付けなど細かい部分を作って行く。

 昼食はワールドバザールカフェでアッティラとエルギンと同席。日本の様々なことに興味津々の2人は山菜うどんを注文。だしに使われている鰹節の作り方など、僕が知ってる限りの説明をする。うどんをすすり、一口食べるごとに、ボーダー柄の布巾で丁寧に口を拭う二人。「あのボーダー柄の布巾、どこで手に入れたのだろう?僕等はお店の人からもらわなかったよね?」と、隣に座っていた小原さんと怪しみながらしばらく静観する。ふと「もしや」と思って、箸やフォークが置いてあるテーブルに駆け寄ると、ボーダー柄の布巾はやっぱりダスターだったのだ。何も知らぬ二人は、相変わらずダスターで、一口ごとに紳士的に口を拭っている。あわてて紙ナフキンを数枚掴んで「こっちの方が良いよ」と言って彼らに差し出すと、不思議そうな顔をして口を拭う布巾が何かを尋ねるので、僕が黙ってテーブルを指差すと、ブッと吹き出して、しばらく苦しそうに笑う2人。「ありがとう、大事なことを学んだよ」という前向きなコメント。一口食べるごとにダスターで紳士的に口を拭う2人を思い出すと、僕はいまだに思い出し笑いをしてしまう。
 午後から通し稽古を2回行なう。寒さと時差ぼけとの闘い。なかなかオスマンの音楽が決まらない中、アルマーズのローラーバランスの音楽が先に決まる。最後のシーンでアルマーズが肩を震わせるトルコダンス踊ってみると、彼の微妙なリズム感に一同大爆笑。

ぴりぴりとしたリハーサルの中で、なごやかなひととき。早くショウを作り上げたい演出のトゥイチーは、明日も10:00から通し稽古をしようと提案したが、皆、個人練習をほとんどできてないし、今日新しく決まった音の編集も10:00には間に合わないので、午前中から順番に個人練習をしっかりやって、15:30から通し練習ということになった。17:55分の最終のバスで宿舎にもどる。

3月12日(火)
 9:06犬山駅前発のバスでリトルワールドへ。10:00に野外ホールでトゥイチーと二人で音の打ち合わせ。彼はオスマン用とエンディング用に新しい曲を3曲、探し当てて来た。ジャグリング用に選んだ曲はトルコの有名な民族音楽を現代風にリミックスしたものだ。オリジナルの曲は、昔ウィスキーのCMで流れていた曲のような気がする。16:00頃まで順番で個人練習を行なっている間、リング、ローラーバランスの音楽を波形編集ソフトで延ばしたり短縮したり、編集を行なう。16:00から全体練習。この日から新しいMCさんも参加。順番を変更したり曲が足りなかったり、課題はまだまだ沢山でてきた。


 バックとオリガの息子、2歳のルスランが両親が練習していると、舞台に上がって来て父母に抱きついてきたり、かまってあげられないと泣き出してしまい、たびたび、バックまたはオリガが全体練習から抜けなくてはならない時がある。僕は感心するのだが、演出のトゥイチーをはじめ出演者達は寒い中、かなりナーバスな精神状態でリハーサルをしているのだが、そのことに対して一言たりとも文句や不平を言う人はいない。幼い子供がぐずり泣き叫ぶのは、仕事中であっても当たり前の事として受け入れる。サーカスで合流する人々は一時の家族を築くようなものだ。僕はことあるごとに反省する。少子化が叫ばれる日本で、私たちは子供や子育てしている親に寛容な社会を築けているのだろうか?行き過ぎた合理化が不寛容な社会をつくりだしてはいないだろうか?

 リトルワールド発17:55の最終バスに飛び乗り、そのままリトルワールドが設けてくれた歓迎会の居酒屋に直行する。皆、焼き鳥を美味しそうに頬張っていた。鶏肉は大抵どこの国の人も食べられるので、様々な国の外国人と一緒に食事をする時に、焼き鳥(特に塩)というのはとてもありがたいメニュー。トゥイチーがミランとルスラン相手にマジックを見せて、幼い二人の素直な反応にメンバーは大盛り上がり。

皆リハーサルで疲れているところを上手になごませ、リラックスさせるトゥイチーは本当に偉いなあ、と思うのだった。

3月13日(水)
 金曜日は一般公開のドレスリハーサルであることを考えると、リハーサル日は正味今日と明日の二日間しかない。

10:30から通し練習を行なう予定なので、犬山発の一番早いバスでリトルワールドへ向かい、音の編集とMDへの録音を行なう。10:00に皆が到着して、トゥイチーがさらに2曲新しく持って来た。午前中2回目の通し稽古で、イリュージョンのアシストをするミュージシャン2人が失敗をしてしまった。トゥイチーはイリュージョンのアシスト方法を英語でアッティラに説明し、アッティラはそれをトルコ語でエルギンに説明をする、という手順なのでどこかに誤解が生じていたのかもしれない。はじめて行なうイリュージョンアシスタンでもあり、すこし焦りもあったようで現場が少し混乱する。とりあえず、気分を変える為にフィナーレの練習に切り替えて昼食休憩。

休憩室でバックとオリガに、自分にも2歳の子供が居るという話をしたら興味津々で、さらに上に5歳の子供がいると話すと、とても喜んでくれた。バックとオリガにはもうひとり10歳の男の子がいるのだが、今回は滞在も長いし学校があるので、ロシア・オムスク市のオリガの両親に預けて来た。子供と離れるのは辛かろう。二番目は本当は女の子が良かったんだけど二番目も男の子で、男の子2人でもやっぱり幸せだと話すと、オリガは嬉しそうに握手をしてきた。同じ心境だったみたい。

 午後に行なった3回目のリハーサルではビデオを回した。とくにイリュージョンのシーンで確認したい事が何点かあったものの、だいぶ流れが出来て来た。この日は通し稽古を3回行ない、そのあともう2回、イリュージョンの「エスケープ」の練習をし解散。トゥイチーは一人で居残り作業。その間、僕はMDに録音した曲頭の無音取り。この空白があると曲のきっかけに合わせて音を再生しても、空白分遅れて曲が流れてしまうので、音響担当で通訳の小原さんは「音楽!早く!!」と出演者に責められてしまう。無音取りは大事な作業になる。17:30頃作業が終わって最終のバスでトゥイチーとリトルワールドを出発。バスの中で今日撮影したビデオをトゥイチーと見ていたのだが、疲れ果てた彼は途中で眠ってしまった。

3月14日(木)
 犬山駅9:58発のバスでリトルワールドへ。音の編集と役所に提出する外国人転入届の書類を作成したりしていると11:00にアレーナが音源を持って現れる。何度リハで試演しても曲が足りなかったので、付け足しする曲を持って来た。11:40に一回目のリハーサル。エンディングを練習して、再びリハーサル。ショウの流れはだいぶ良くなった。

アレーナの新しい音楽を編集して流すと、これも悪くなかったみたいだ。でも、やはりエスケープの進行に課題が残ったので、エンディングの練習を3〜4回全体で行なって、またエスケープの練習。その間もう一度業者さんに来てもらってイントレで足場を組んでもらい、ストラップの吊り位置を直す。エスケープの練習は入念を極めた。

15:00頃やっとうまくいって練習が終わり、疲れ果てた皆は練習が終わって大喜び。休憩室で遅め目の昼食時間となる。バックステージにもどると、ワーリャがMac Book proを買いたいのでネットで値段を調べて欲しい、という。旧ソ連圏のサーカスアーティストたちは5年くらい前までは、僕が知る限りほとんどwindowsマシンを使っていた様に思うのだが、最近はMacを買う人が急速に増えた。AppleStoreの見積りページでスペックを選ぼうとすると、彼は常に最高のプロセッサー、最大容量のフラッシュストレージとメモリを選択するので、価格は30万を超えてしまった。日常的に使うだけだったらそんなスペック必要ないと思うよ、と繰り返し伝えるのだが、彼は最高のマシンを手に入れたいらしい。何とも男臭いワーリャ。とりあえずネットでは買わずに名古屋のAppleStoreに一度行ってみることに。

リトルワールド発の最終バスで帰ろうとしたらバックが問題発生と言う。吊り位置を修正した事でウィンチの角度が狂ってしまった。このままだとワイヤーがこすれてしまい危険なので、角度を変えなければならない。Tさんにお願いしてあわてて業者さんに戻って来てもらい、ウィンチの角度の修正をする。

結局最終バスには乗れずに、名鉄インプレスの社員の方に犬山駅まで送ってもらう。恐縮しきりの私たち。夜はトゥイチーを慰労する為に、大島さんと三人で居酒屋へ魚を食べに行く。ゲネの前の日にしてショウがほぼ完成した。トゥイチーが日本酒の熱燗を飲んでだいぶリラックスした表情になっていた。

3月15日(金)
 ゲネリハの日、10:18のバスで犬山駅へ。仕込み中は転入届を役場に提出しに行く時間がないので、私が代理人としていく事に。メンバー全員からパスポートと在留カードを預かって、委任状にサインをしてもらわなくてはならない

11:30過ぎから一回目の通し練習。これまで通し稽古では一度もグループジャグリングの演目を全ては演じることなく温存してきたオスマンだが、この練習で初めて最初から最後まで全てを演じた。やはり迫力がある。

13:00のゲネリハを前にイリュージョンの「エスケープ」と「パダーラク」の再度確認。特にイリュージョンは失敗できない。

ゲネリハはお客さんも沢山来ていて、反応もなかなか良かった。公演終了後、テレビのCM用に出演者全員で「みにきてね!」を何テイクか撮影した後、メイクをしたメンバーの顔写真と、全体写真を撮影する。

メンバーは個人練習、僕は委任状にサインをもらって、役場へ転入届を提出に行く。13人分の転入届出は1時間くらいかかってしまった。夜は、トゥイチー、Tさん、大島さんと無事にゲネが終わった事を祝い。

3月16日(土)
 9:28のバスでメンバー全員と出発。バスはかなり混んでいた。パスポートと在留カードを皆に返却。会場に着くと、客席前列はすでに荷物が置かれていた。

11:00の初回の公演は7割くらいの客入りだったけど、お客さんの反応は良い感じ。一回目の公演が終わった後、アッティラとエルギンが初日の幕が上がったお祝いに、日本で買った茶碗をくれた。女の子達にはキャンドル。「このプレゼントはトルコの伝統なの?」と聞くと、べつにそうではなくて彼らの習慣だと言う。これまでオペラや演劇等、いろいろな舞台でミュージシャンとして公演して来たが、必ず初日が開けると共演者に何かプレゼントをするのが習慣だったらしい。不思議なプレゼントだったが、ありがたくいただいた。

2回目の3回目の間に、今日オープンしたリトルワールド15年振りの新家屋『トルコ イスタンブールの家』で公演しているトルコ舞踊を見に行く。男2人、女3人のダンスは激しく旋回するトルコ東部のダンス。美男美女ぞろいで格好良い。家屋内のカリグラフィーの展示がとても良かった。

3回目の公演が終わり音の変更もなさそうなので、万が一の為の公演で使う音楽のMDコピーとMDデッキが壊れたとき用にCDコピーを作成して、17時前に宿舎に戻る。

3月17日(日)
 公演が終わったら東京に帰る予定だったので、荷造りを済ませてからバス停へ。バスは団体のお客さんでいっぱいで、メンバーの半分以上が立っていた。エルギンの誕生日がパスポート上は3月24日なのだが、実際の誕生日は3月19日(火)だという。外国人と付き合っているとわりと珍しくない話。19日(火)は休演日なので、急遽、エルギンの誕生会とACC主催の歓迎会を18日(月)の夜にすることになった。急に浮上したプレゼント問題。さあ、何にしよう・・・?小原さんと頭を悩ませる。

ロシア(や旧ソ連諸国)ではサーカスメンバーが誕生日の時に、皆でお金を少しづつ集めて、現金を誕生日の人にプレゼントする事がよくある。こういう時は合理的な人たち。当初はトゥイチー達もそうするつもりだったのだが、アッティラにトルコでの習慣をこっそり聞くと、お金よりプレゼントを選んだ方が良いみたいだ。彼らはメンバーから集めたお金で何かプレゼントを買う事に。

昼食休憩時にエルヴィンの趣味をアッティラにこっそり聞くと、彼は大変多趣味なので一つを挙げるのは難しいけど、最近はカリグラフィーに興味があるという。アッティラはカリグラフィーは手の震えを抑える訓練になるので、昔の軍隊の射手はカリグラフィーの練習をさせられたんだ、と豆知識を披露。トゥイチーやオスマン達も現れ、明後日の休演日の予定の話になり、皆で温泉に行く事になったようだ。これまでたくさんのサーカスアーティスト達が電車に乗って温泉に行き、朝から晩まで8時間くらいサウナと水風呂を繰り返していた、という話を良く聴く。彼らも週1回の休演日が楽しみでしかたがないみたいだ。

2000年に僕がイスタンブールに行った時にハマムに行って、スレイマンという三助さんからマッサージと称して、身体を強引に曲げられて、散々ひっぱたかれた話をすると、アッティラはトルコに住みながらハマムには一度も行った事が無いという。ハマム(公衆浴場)に行くこと、リップクリームを塗ること、箸を使うこと、父と娘を(ショウの最中に)抱き上げること、日本では人生初めての出来事が多くて嬉しい、と語る。3回目のショウもお客さんが多かった。

3回目のショウの後、フェルーザとアジザのベリーダンスワークリョップを開催。大人2名、子供2名が参加してくれた。小原さんとエルギンの誕生日プレゼントを買いに名古屋へ。途中トゥイチーから、電話が入る。「いま名古屋?それは素晴らしい」と言って、温度調節が出来る220V対応の電気ポッドをエルギンへのプレゼントにしたいから買って来て欲しい、と頼まれた。電気ポット!?と小原さんと顔を見合わせるも、トルコでは日本で売っているような電気ポッドを手に入れるのは難しく、犬山には売っていないのでぜひ名古屋で買って来てくれと、切実なお願い。ACCからのプレゼントとして、東急ハンズで日本のカリグラフィー、書道セットを購入。小原さんは手ぬぐい。高島屋の北海道物産展でスープカレーを食べて、ビックカメラで電気ポットをギフト包装してもらって犬山にもどる。それにしても電気ポッドとは・・・でかいな。

3月18日(月)
 朝、犬山駅のバス停で10:00に時計台から桃太郎が現れて、メンバー大喜び。野外ホールへ行って修正したエンディングを練習する。フィナーレでミュージシャン二人にもう一度、楽器の演奏をする形に。トゥイチーたちは柔軟に対応する。ACCホームページに掲載できるように、アーティスト達にインタビューを試みる。

1回目の公演の後にトゥイチー、昼食の後にアッティラとエルヴィン、そしてちょっと恥ずかしがっていたがオスマンのリーダー、ワーリャにお願いすることにした。(インタービューはこちらをご覧下さい)2回目のショウが終わり、東京に戻る前に事務所にご挨拶。メンバー達はワールドプラザ前でトルコ舞踊を観劇。舞台にあげられるトゥイチー。

犬山にもどり18:00から居酒屋でエルヴィンの誕生会。いつもながら最初は皆静かにお腹を満たすのに集中。2杯目位から急に賑やかになっていく。トゥイチーがエルヴィンに電気ポッドをプレゼント。つづいて、小原からは手ぬぐい、僕からはTさんから託されたリトルワールドからのエケコ人形、ACCからの書道セットを渡す。どのプレゼントにも嬉しそうな顔をしてくれるエルギン。
 しばらくして、トゥイチーが乾杯をしたいというので、彼の話に皆、耳を傾ける。

「一人のロシア人のサーカスアーティストが、ロシア語の通じない国にやってきた。
公演が終わって、外国の街並み見に散歩に出掛けると、街の人から質問を受けた。
『どこの国からいらしたのですか?』
アーティストは答える『サーカスです』。
『職業はなんですか?』
アーティストは答える『サーカスです』。
『宗教はなんですか?』
アーティストは答える『サーカスです』
つまりこれが私たちです。サーカスに乾杯しましょう」

 ロシア人(特に年配の人)と酒を飲んでいる最中に、誰かが「乾杯をしたい」と立ち上がる事がよくある。乾杯を叫ぶ前に、大抵ひとことだったり小咄を話したりして、最後に「何々に乾杯」と話しをまとめる。誰かの誕生日だったら、その人を産み育てた「両親に乾杯をしたい」ということも良くある。年上(特にソ連時代からのアーティスト)の人が居ると、その人から「乾杯を言いなさい」と急に指名を受ける事もあるので、慣れてない頃は、もし当てられたら何を言おうか、と頭のなかで準備してから宴会に望んだ事もよくあった。気の利いた事が言えなくても、杯を重ねて行けばなんとなく盛り上がって行く。

 この日のうちに東京に帰らなくてはならないので、20:30頃中座する。とりあえず中締めという事で三本締め。その後は初めての休演日の前夜、子連れ以外は24:00頃まで飲んでいたらしい。

これから長い3ヶ月半がはじまる。

 (一部演目を変更して公演を行なう場合があります。)

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